薬事法とは?

医者

薬事法とは、日本国内の医薬品や医療機器、化粧品などについて様々な角度から包括的に安全を保証するための法律で、正式には「医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という名前になっています。ただ、正式名称を知っている人はほとんどおらず、「薬事法」という名前で多くの人に知られています。

この法律で規制の対象になるのは病院で処方される医薬品、薬局で購入できる殺虫剤などを含む医薬部外品、化粧品、医療機器になります。これらの規制対象品について、品質や安全性などを高めるための法律が薬事法です。薬事法は薬や化粧品が安全かどうかはもちろん、製造や販売、流通や広告についても詳しく規定していますので、薬の販売などを行う際は必ず知っておかなければならない法律になっています。

薬事法の歴史

薬売り

薬事法の歴史は江戸時代にまで遡ります。江戸時代以前は薬品の品質は粗悪なものもたくさんあったので、安心して薬を利用できないような環境が続いていました。江戸時代の享保の改革によって医療に使われる薬品の品質への関心が高まり、「和薬改会所」という薬品の検査を行う機関が作られました。和薬改会所の検査に合格した薬品以外の販売は禁止されましたので、この頃から政府主導で薬品の品質管理が始まったといえます。

明治時代になると、日本の鎖国が解かれ、西洋医学の考え方を重視するようになりました。薬局ができたり、毒薬の概念が導入されたりと、近代的な医療システムが確立し始めます。大正時代になったころには、薬に対する考え方もどんどん変わっていきます。それまでは薬としての効果がなくても、人体に害がなければ積極的には規制しないという「無効無害主義」でした。

ただ、医療システムが整い、薬の品質が確保されるようになってからは薬効が確認できない場合は、体に無害であっても規制すべきという「有効無害主義」の考え方になりました。この考え方によって、すべての薬は薬効の科学的裏付けを求められるようになりましたので、日本の薬の品質は大きく向上し、より安心して利用できるようになりました。

このように、薬事法はどんどん進化を続けていますが、それでも日本では痛ましい薬害事件がたくさん発生しています。薬は人間の体に対して非常に大きな影響力がありますので、製造、販売、広告など多角的な角度から規制を行うことによって、慎重に利用していく必要があるのです。

薬をより身近に

栄養ドリンク

日本国内における薬の販売については、薬事法によって厳しく取り締まられています。日本で製造販売されている薬は、販売方法によって「処方箋医薬品」と「一般用医薬品」に分けることができます。処方箋医薬品とは、医師の処方箋がなければ買うことのできない薬です。効果は高いのですが、服用にリスクがある場合や、毒性の強いものもあるので、医師が診察を行って、本当に必要だと思われる患者に、必要な量だけを処方するようになっています。

それに対して、一般用医薬品は薬局でも購入が可能な薬です。一般用医薬品では比較的軽度な症状を改善することができるとされています。一般用医薬品は副作用の強さによって第一類から第三類に分かれており、第一類から順番に副作用が弱くなっています。

これらの薬の販売に関しては、特別な資格が必要です。第一類の薬は薬剤師のみが販売可能で、第二類の薬に関しては登録販売者なら販売が可能です。第三類の医薬品に関してはビタミン薬や栄養ドリンクといったもので、コンビニでも購入が可能になっています。

ネット通販でも第一類医薬品の購入が可能に

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これまでは第一類の医薬品を購入する際には必ず薬剤師と対面で、薬剤師は使用上の注意事項について話をする義務がありました。また、第二類の医薬品でも対面販売でのみ購入が可能で、販売士には薬の説明について努力義務がありましたので、薬の購入時は注意事項の説明が行われることが多くありました。

ただ、これらのルールは改正され、徐々に薬の購入が容易になりつつあります。2014年6月から施行された改正薬事法では、いくつかの条件さえクリアすれば、インターネット通販でも第一類医薬品の購入が可能になりました。また、登録販売者が在籍しているという条件はありますが、第二類の医薬品はコンビニでも購入が可能になっています。

これは自分自身で健康管理を行うという「セルフメディケーション」の考え方に基づくもので、軽度な不調は自分で手当てしやすいような環境が整いつつあるといえます。平均寿命が長くなり、生活習慣病によって日常的に薬を服用する必要が出てきた現代においては、セルフメディケーションが非常に重要なので、この先も薬事法の規制緩和が行われる可能性があります。

規制の基準はそれぞれ

医者

日本の薬事法による規制が緩和されつつあるというのは説明しましたが、それでも日本の薬事法は諸外国に比べて規制が強いといわれています。日本でいう薬事法に当たる法律は他国にも存在するのですが、国によって規制の基準などは大きく異なります。

現に、日本では処方箋医薬品として扱われている薬が外国では市販されているということは非常に多く、日本国内では市販で購入できる薬の種類が限られてくるといわざるを得ません。この規制によって困ったことになるのが、海外からの旅行者です。自分の国では普通に購入できていた常備薬が、日本では購入できない場合があります。

また、日本人が海外旅行中に何かの傷病に見舞われ、現地で薬による治療を受けた際には、帰国後の治療継続が困難になってしまう場合があります。

個人輸入という方法

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もし、どうしても海外の市販薬が必要な場合は、個人輸入するという方法もあります。日本の薬事法では、海外の市販薬を個人利用の目的で輸入することは可能になっていますので、個人輸入を利用すれば日本国内では市販されていない薬でも手に入れることができるのです。通常は輸入の手続きとして厚生労働大臣の承認を得るための書類を提出する必要がありますが、「通常の用法で2ヶ月分以内の薬量」と「個人利用する分量のみ」という条件を満たせば、税関での確認のみで輸入が可能になっています。

日本の薬事法はあくまでも日本国内での製造と販売を規制しているだけなので、海外から輸入してきた市販薬を使用することは違法ではありません。ネット上に多数存在する個人輸入代行サイトに関しても違法性はないので、うまく活用することで効率よく薬を手に入れることができます。

もちろん麻薬などの危険な薬品や、重大な健康被害が起きる可能性がある医薬品に関してはいかなる場合でも個人輸入ができなくなっていますので注意が必要です。また、個人輸入した場合は自己責任で薬を利用することになるので、用法用量だけは守って利用するようにしましょう。

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